2001年に発売していた”Watermelon Sundown Vol.1”からの曲も含めての完全盤という形でフルアルバムを再編集。結果的にライブで演奏してきた曲が中心(しかも全曲歌入り。初の試みであります)となり、此処3年間の集大成的なアルバム。気合いが入り過ぎて、濃い過ぎ?でもこの時点でのベストを尽くした結果です。もう歌が下手だとか演奏がイマイチとか、そういう悩みは一生回避できないであろう、そんな願望はもう諦めた。俺に出来ることは気持ちを込めて作るだけ。歌うだけ。そんな作品。

ちなみに、”HEY HEY”と”夕方の歌”は以前出した(そして、今は廃盤の)Watemelon&Sundown Vol.1に入っていたテイクの歌と一部の楽器を差し替えたバージョン。なんというか代表歌でもあるので、気に食わない部分の変更をして発表したかった。なので2度目の発表であります。ちなみに”薔薇と戦闘機”もそのVol.1にインストバージョン(演奏は全く違うテイクです)が入っていた。この3曲以外はすべて未発表であったが、”Still Alive”と”White Bird”以外はライブでも何度か演奏した曲ばかり。やっと日の目を見て全曲ともに嬉しそうだ。

そしてもう一つ大事なこと。このアルバムの演奏者は(西村哲也以外は)、ドラムスの夏秋文尚さんのみ。そしてほとんどの曲でドラムスは演奏されている。録音はすべて彼のスタジオ、サブタレ―ニアン・スタジオ。ちなみに”Still Alive”や”薔薇と戦闘機”は、データの郵送のみ(つまり、全く演奏の指示なし
)で録音された。夏秋さん無しでは、このアルバムは作れなかったです。


曲の解説なんて、おこがましいのだが簡単に・・・。

Still Alive”:5拍子の曲は作ってなかったなー、と打ち込みでコード進行だけ作って、後で歌とか構成を考えた。いわばパソコンとのセッションによって生まれたのである。最初はサビも後半の展開もなかったが、いろいろアイデアを膨らませたら意外と面白い歌になったので1曲目にもってきた。内容は、まあ東京を離れても音楽は続けたいなーと言う思いが織り込まれてしまっている。それから大きな意味になって”どうせ生きるなら・・・云々”みたいな大層な言い回しになってしまった。

Golden Bird”:これもパソコンの前に座って、マイクをセットし、何も考えずにギターを弾いたら、何となく出来たしまった曲。意外とこのパターンで歌が出来ることも多い(失敗も多いが・・・)。歌詞もものすごく抽象的で意味は未だにわからない。ずっとわからないだろう。サウンド的には、70年代サンフランシスコのサイケな雰囲気を出したかった。わりと成功したかな?。

悲しみのキトゥン”:あ、そういえば、これもパソコンの前に座って、”自動書記”的に出来た曲だった!まじでそんな作業パターンで完成した歌多いのです。ザ・バンドとかそんなルーツ・ロックなイメージがあったのだけど、日本語で歌うと、なんとなく70年代ジャパニーズフォークな感じになってしまったかな?でもまあいいか。それもひとつの目指す道ではあります。これは幼児虐待について歌ったのだが、ちまたのニュースで幼児虐待のことが報道されるたびに胸が苦しくなるのは子を持つ親なら誰でもだろう。かといってそういう内容になったのは考えてる途中からで最初からではなかったな。歌詞と言うのは無意識の自分が表出してしまう、なんとも精神分析みたいなとこがあるのです。

”薔薇と戦闘機”:はっきり、言ってしまえば、歌詞の意味は全く意味がない。書き終わっても皆目わからないので、この歌の言葉は歌の記号みたいなものと思ってもらうしかない。げげ、全然解説になってないね、でもメロディとかアレンジとかは、自分の中にあるポップスという形を目指したのだ、珍しく。そのせいかわからないけど、いやに歌うのが難しかった。

夕方の歌”:何故か、ライブではよく歌う。きっと歌いやすいからだと思うけど、何故か録音では上手くうたえずこれも苦労した。ところで、この曲を作ったときの最初のイメージはリチャードトンプソンぽい歌、だったのであるが、段々変わってきて今ではやっと自分の歌になってきたような気がする。録音のドラムのタムがピンク・フロイドみたい?ライブと違ってアルバムではちょっとプログレっぽいです。しめしめ。

”電源”:書くべきか悩むとこだが・・・2002年、京都に引っ越して両親の世話をはじめた。両親だけでなく町には老人がいっぱい、特に平日昼間の景色に老人はかかせない。ようは周りが老人ばっかりになってしまった。当然、物忘れが激しいお年寄り。もう何がなんだかわからないけど、さっきのことも思いだせない、言ってることも壊れたテープレコーダーなジェネレーション。そんな彼らにに捧げた曲。ついでにすっかり脳細胞が減ってきた自分にも・・・。

”顔”:これはなんというか、深い意味はなくて、勿論SMの歌でもないし(!)、説明するとイメージが狭くなってしまうので止めときましょう、聴いた人の感じたことが、この歌の感じ方。でも愛の歌。とてもメランコリーでウエットなアレンジだけど、わし自身は気に入っている歌。俗に言うアシッド・フォークとはスタイルがちょっと違うかもしれないけど、大好きなティム・バックリーとかの、”ああいう感じ”な曲に憧れて歌っています。

”ウォーターメロン砦”:これはスワンプロックかね?最初はゴスペルとかそんな感じを目指して考えた。それにしてもレイドバックしてますね、自分の曲ながら。ちなみにウォーターメロンとはスイカだが、黒人という意味もあるらしい。そんなことも含めて、奴隷時代のアメリカ、のことを歌った。わしの作った歌って労働とか過酷とかの内容の歌が多い。

”ストロベリーブルーズ”:これは、なんだろう?過去を懐かしみ、そして悔やむ・・・ブルーズ。悲しくてブルーな感じがメランコリーで、ってなんかわかりにくい解説だなー、つまりね、散文で深い意味はないけど、自分のなかの気持ちを叩きつけた歌詞。曲は3年位前に録音しててずっとそのままであったが、歌を録音したら、もう没にしたいくらい合わなかったのでガックリした。それで一時インストにしてしまおうと考え、ワウ・ギターを録音したのだがこれもイマイチかなーと・・・ところが、その時、試しに歌のトラックも同時に出して聴いてみたら意外にもぴったりフィットしたので、めでたく元の歌ありバージョンに戻ったのでありました。まさに一件落着。

”HEY HEY”:これはロード・ムービー好きなわしが、そんなイメージを曲にしてみた、そんな歌。しかもアメリカのロードムービーかね、やっぱ。ちょっと他の曲と歌詞の視点が違うので、ちょっと気に入ってる。ワンコードで、大好きなグレートフルデッドな汚れた埃っぽい雰囲気の曲が是非作ってみたかったのでこんな曲が出来ました。つまりルーズな普通のブルーズロックとアバンギャルドなテイストの融合みたいな?・・・なんだか安易かい?でも大丈夫、デッドには絶対なれないから、よいんです。これはこれでわしの歌だから。ちなみに赤い汽車、とは当時我が子がはまっていた”機関車トーマス”に出てくるジェームスからイメージした・・・だったかな?はっきり覚えていない。